『夢の舞台へ』

甲子園といえば、阪神タイガースの本拠地、高校野球の春の選抜・夏の選手権、そして、秋のマスターズ甲子園・・・!?

11月某日、阪神甲子園球場で「第11回マスターズ甲子園」がありました。「マスターズ甲子園」とは、全国の高校野球OB/OGが性別、世代、甲子園出場・非出場、元プロ・アマチュア等のキャリアの壁を超えて、出身校別に同窓会チームを結成し、全員共通の憧れであり、野球の原点でもあった「甲子園球場」で白球を追いかける夢の舞台を目指そうとするものです。この大会を企画・創設したのは鶴丸高校卒の長ヶ原誠大会委員長。また翌年に鹿児島大会をスタートさせたのも後輩たちでした。

 全国推定200万人の元高校球児の一人である私は、今年から母校・鶴丸高校のOBチームに参加し、鹿児島県大会予選を制し、運良く一年目にして、2014年の県代表として甲子園の土を踏むことになりました。

 試合当日、開始時刻は午前8時の第一試合。対戦相手は三重県代表・宇治山田高校OBチーム。大会規定により9イニングもしくは1時間30分打ち切りという時間制限がありました。鶴丸の選手登録は45名、“全員が試合に出場する。9イニングまでやり切る。甲子園をたのしむ。”というのがチームの目標でした。まだ夜が明けない朝6時30分に球場入りし、室内練習場で軽いストレッチを済ませ、日が昇り始めたアルプススタンドで記念写真をパチリ。アルプススタンドからの景色はテレビで見る満員のスタンドと異なり、自分たちだけの「甲子園」を実感することができました。その後、1塁側ベンチに通され、憧れのグランドの土を踏むことになったのです。アルプススタンドからやや狭く感じられた球場が、グランドに立つと上空の秋晴れも重なり広々と感じられました。

 さて試合の結果はといいますと、残念ながら4対7で敗れましたが、制限時間の15分前の7回裏2アウトから捕手として甲子園デビューを飾ることができました。また8回表には1打席だけ立つことができましたが、残念ながら凡退でした。短い時間の中で45人全員が出場することができ、また、規定回数の9回まで行い試合を成立させたことは大会始まって以来の快挙でした。この大会は、多くの学生ボランティアの方々で運営されており、その中には地元の中学・高校の吹奏楽部によるブラスバンドボランティアがありました。高校野球さながらの演奏。また、校歌が流れたときの感動はひとしおでした。

 マスターズ甲子園の特色の1つとして、試合後にグランドで行うキャッチボールがあります。友人や夫婦、親子等で甲子園でキャッチボールが出来るのです。なかなか経験できない体験なので、私も小学3年の甥と一緒に参加しました。甥はおぼつかないキャッチングでしたがとても楽しそうで、良い思い出になったのではないかと思います。

 高校時代に憧れていた甲子園に、20年以上経ってから思いがけず出場することができました。母校・家族・仲間の存在にありがたみを感じ、改めて感謝の気持ちを持ちました。

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